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なぜアライメント調整が必要なのか?

アライメント調整をする理由はいろいろありますが、今回の私の目的はフロントタイヤの内側が極端に摩耗してしまうという事象の対策でした。本来自動車メーカーでは基準値というのがあってこれを満たす状態で出荷されています。その状態から車高が変わったり、タイヤが変わったり様々な要素でアライメントの調整が必要になってきます。
 トゥデイの偏摩耗についてはおそらくローダウンによる影響と考えていました。車高を落とすことで見た目にもわかるくらいのネガキャンバーがついています。それによって悪さしてるんじゃないかと思っていました。


4輪アライメントテスター講習会 in juntohru宇都宮

今回はjuntohru宇都宮店の移転に伴ってアライメントテスターが導入されたと聞き、講習会もあるということでおじゃましてきました。いじり屋としてはやはりアライメントも自分で調整したいと思うのが当然。レンタルガレージでアライメント調整ができるなんてうれしい限りです。
 講習会ではアムテックスというメーカーの方がアライメントテスターの使い方とアライメントの仕組み、なぜ調整する必要があるかについて詳しく説明していただきました。こういう講習会がないと、自分でアライメントと意気込んでもちょっとハードル高いと感じてしまいます。今回は自分でアライメントを見る非常に良い機会でした。
 今回使用したアライメントテスターはSmartLinerという製品。調整された水平なリフトの上で4輪にセンサーを装着して測定するマシンです。セッティングに必要な注意点等も詳しく教えてもらえました。



セッティング

まずリフト上にクルマを設置し、設定の高さまで上げます。この高さで水平が精度よく調整されています。次に、各ホイールにセンサーを装着します。10インチから22インチまで対応できるそうです。センサーには4つのツメがついていて、ダイアルを締めることで4つのツメがホイールを挟み込む構造になっています。4輪のセンサーにはCCDカメラが着いていてそれぞれ通信しています。カメラを遮ると測定できません。
 装着が完了したら、センサーの校正を行います。リフトには前後にそれぞれ油圧ジャッキが内蔵されています。これを使ってサスペンションアームから車体を持ち上げます。その状態で、車輪を回転させて3つの角度でのセンサーの位置を測定して校正が完了します。

車体を下ろす前に、フロントには角度調整用の台を設置し、ピンを外します。リヤのピンも外します。こうすることで足廻りを調整しても各車輪のステージが自由に動けるのでストレスがかからずに調整が可能となります。そして車体を下ろします。下ろした後には車体をゆすってサスペンションの状態をならします。これでセッティング完了です。


リヤサスの調整

アライメントの調整は必ずリヤを調整してから、フロントを調整します。トゥデイのリヤサスはラテラルロッドくらいしか(純正だとどこにも調整機構がない)調整の機構がありません。よく見ると車体がリヤタイヤに対して左側に寄っていたのでまずはラテラルロッドを引っ張って車体のセンターに調整しました。
 測定した結果、todayの基準値内に収まっていました。ほとんどトーもキャンバーもついていません。

右側キャンバー:-0°04' 右側トー:0°01'
左側キャンバー:-0°06' 左側トー:-0°06'

フロントサスの調整

次にステアリングセンターを決めて、専用の冶具で固定するとフロントサスの測定結果がでます。左図のような結果が出てきました。上からキャスター、キャンバー、トーの結果です。キャスターはあとでステアリングを切って測定するので、ここでは表示されていません。
 心配していた偏摩耗の原因がここで見つかりました。車高がノーマルより3cmは落としているのでその分ネガキャンバーが大きくなります。その結果、トーアウトになってしまったことが内側偏摩耗の要因だったと考えられます。ネガキャンバーの場合、どうしてもタイヤの内側の接地圧力が大きくなるので、内側から減ってしまいます。それを補うためにはトーインをつけてやることである程度偏摩耗が防げるということで、今回はトーイン方向に調整することにしました。
 タイロッドのロックナットをゆるめて、SmartLinerのメーターを見ながら調整します。トーアウトからトーイン方向にするためにはタイロッドをのばしてやります。ねらい値を10'としました。08'あたりで調整して、ロックナットを締め付けるとその分の伸びで10'あたりになりました。

トー調整結果
右側調整前:-0°18' → 調整後:0°10'
左側調整前:-0°20' → 調整後:0°10'
トータルトー調整前:-0°38'(トーアウト) → 調整後:0°19'(トーイン)
測定結果
右側キャスター:2°39' 右側キャンバー:-0°49' 右側トー:0°10'
左側キャスター:2°25' 左側キャンバー:-0°58' 左側トー:0°10'

インプレッション

調整完了後、リフトから降ろして実際に走ってみました。今回の調整範囲では大きな差は感じられませんでしたが、直進安定性とステアリングセンターはしっかり合っていたので調整結果としては問題ないと思っています。今後は偏摩耗が軽減されていけばねらいどおりということになるでしょう。それがわかるのはあと1年くらいかかるかも。
 実際に自分でアライメントテスターを使うことができて、アライメントのシビアなセッティングが体感できたことは非常にいい経験となりました。気になっていた偏摩耗もしっかりと数値でその要因がでてくるし、クルマの異常に気づいた方は、一度トライしてみることをお勧めします。【2005.10.01 72,451km】